巨匠たちの再会

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ちょっと心和む写真を。もうすでに若手とは言いがたいある画家を介して、二人の巨匠が再会を果たした場面だ。

左がジョアン・ミロ、右がアンドレ・マッソン、その間にいる人物がフランシス・ベイコン。

再会を喜び手を差し伸べるミロのこの表情、なんとも感慨深い。このときミロ78歳、マッソン75歳、そしてベイコン62歳。

1971年パリのグラン・パレでは、フランシス・ベイコンのフランス初の大回顧展が開かれていた。

その場には、オープニング・レセプション出席のために集まった各国・各界から著名人がこのイギリスの画家を迎えている。

この当時、グラン・パレで紹介されたイギリスの画家はターナーしかいなかったというから、現代の画家がフランスでここまで迎え入れられるのは異例のことだったようだ。

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しかしベイコン本人は、大変な苦難に見舞われていた。恋人であるジョージ・ダイアーが、オープニングを前にして自殺してしまったのだ。

ベイコンがオープニングの準備に追われている間、アルコール中毒を患い、極度の精神状態だったダイアーは、大量のブランデーと睡眠薬を飲み、ホテルの自室にあるトイレで崩れるように死んでいた。

この事件後、旧知の仲であるレリス夫妻に何度かレセプション中止を提案されたが、ベイコンはイギリスからの多くの訪問団を無碍にすることを危惧して、オープニングに臨んだ。

この写真に写るベイコンは一見自らの成功に浴しているようにみえる。

しかし、どこにも焦点があっていない彼の視線を見ると、その胸中を推測してしまうのだ。

その後彼は仕事量が激減したことからも、その衝撃は大きかったに違いない。
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by jaro050 | 2004-11-21 23:23 | 美術寸評
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