ゴールデン街のCREMASTER (M.B.S.D.2)

2002年に公開された「クレマスター3」で全5作が完結するまで、マシュー・バーニーは作品についてのコメントを一切受け付けなかった。それは展覧会カタログにおいても同様で、スチル写真と若干のテクストをのせる程度、作品を説明するようなものは皆無といっていい。そのせいかは知らないが、各作品が発表されるごとに様々な解釈が横行した。たいていは「なんか分からないけど凄そうだぞ」という興味本位の記事が多かったが、徐々に全貌が明らかになるにつれ、精神分析家たちの参入が相次いだ。

新宿歌舞伎町裏手にあるゴールデン街、ここにピンク色の怪しい光を放っている店がある。マシューの作品名にあやかったバー、「CREMASTER」だ。店名の脇にはこんな但し書きがある。「精神分析的実験バー」。精神分析医・藤田博史氏が去年開いた、三階建てのいかにも「あやしい」お店。最近知り合った友人に誘われて、ちょっとここを覗いてみようと新宿に繰り出した。毎週木曜の夜には、オーナーが自ら行うという「藤田ゼミ」が開かれるという。

b0041761_2361511.jpg




夜7時OPENのこのお店に、不覚にも6時半に着いてしまった我々一行は、「ちょっとひっかけてから行けばいいさ」と近くの居酒屋でのどを潤す。多分これがいけなかった。そもそも30分で店を出ようなんて奴はいない。結局どうでもよくなり「CREMASTER」のゼミ参加は延期。とはいえわざわざここまで来ておいて手ぶらで帰るのも勿体無いと、閉店30分前にわずかだけど入ってみた。

b0041761_2362750.jpg


ガラス張りの扉を開けると、ひしめく様にスーツ姿の中年男性たちが席を埋めていた。彼らにはなんだか業界のにおいがする。一階は満席ということで、店の女性に案内されて二階で飲むことになった。真っ白い壁、スチール製の椅子、奥にはホワイトボード。ゼミはここで開かれるのだろう。こんな狭さだと十分な予習が必要そうだ。

b0041761_2364375.jpg


帰りがけに、一階の真ん中の席に坐っていた男性から挨拶をされた。おそらく藤田氏だ。お相手できなくて悪かったと詫びられたが、茶髪で眉毛のない顔に少々驚く。いえいえとんでもない・・・。

本当に建物と雰囲気だけしか味わえなかったこのお店、次回はちゃんとゼミにも出てみようと思う。皆さんもゴールデン街に立ち寄った際には覗いてみてはいかが?トイレは総鏡張りなのだそうですよ。「無限後退するシニフィアン」?、うーむどうなんだろう。。。(ルーカス・サマラスってことかしら?)
[PR]
by jaro050 | 2005-09-05 02:46 | 美術寸評
<< 絵画の表層と写真イメージ アジアのキュビスム展 >>