日本人の建築

もしかしたら、日本の芸術界隈で今一番もりあがっているのは建築かもしれない。

b0041761_543417.jpg9月末、僕らの耳に飛び込んできたのは、仏北部ランスに建設予定のルーヴルの別館、通称「ルーブル・ランス」のコンペを妹島和世と西沢立衛の事務所「SANAA」が勝ち取り、設計担当となったというニュース。フランスでも女性が公共施設の設計をするのは初めてらしい。08年末に完工して09年に開館予定というから今から楽しみだ。そういえば先日あるギャラリーで岡部あおみさんにお会いしたときに、今注目するアーティストは、と尋ねるとまず妹島の名が出てきたのが印象的だった。確かにご主人が建築家でフランス生活が長いという事情もあったのだろうが(くわえて妹島が女性、というのもある)、それを加味しても妹島の活躍はめざましい。金沢は今年の夏に行ってみたのだが、今までの美術館のイメージからかけ離れている感じがした。円筒形の外観にキューブ状の部屋がつめ込まれている構造になっているけれど、幸か不幸か方向感覚が把握しづらくなっているようだった。とはいえ、円形ガラスの壁面は確かに美しい。中心部分の空間は、どこか植物園を思わせるものだった。

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妹島とほぼ同じくらいの時期に話題にのぼってきたのは、彼女の師匠、伊藤豊雄の受賞話。ロンドンの王立英国建築家協会(RIBA)がロイヤル・ゴールドメダルを伊藤豊雄に贈った。僕はあまり知らなかったが、権威のある賞らしい。伊東豊雄といえば建築論が面白い。以前仕事の帰りに伊東の著作集を立ち読みで完読してしまったことがある。もちろん一日で読んだわけではないのだが(本屋さんゴメンナサイ!)。皮膜としての建築など、80年代の評論は充実したものが多かった。いつか再読するために、買っておいてもいい本だと思う。建築論と実際の建築は得てして異なるのが世の常だが、せんだいメディアテークは見たい見たいと思いながら、未だに未訪問。他の建築も同様。というわけで伊東の評価は留保、ということで。

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b0041761_545649.jpgまだまだ日本人の名は挙がる。忘れちゃいけないのが谷口吉生。MOMAの建築で去年あたり話題沸騰でした(昨年末くらいのニューヨーク・タイムズで、小説家のジョン・アーヴィングがMOMAの建築を語っていたのには少々驚いた)。ただ、僕も実際に見に行ったのだが、エスカレーターが付いていたりと何か百貨店を思わせる構造だったのが良いのか悪いのか…。あと建築の問題じゃないのかもしれないけど、バーネット・ニューマンの《ブロークン・オベリスク》はあそこに置いちゃいけないだろ!と思った。モネが見えません。。。谷口の建築は、むしろ上野にある法隆寺宝物館の方が断然良かった、という印象。

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b0041761_5455675.jpgそして最後は坂茂。今年の春にNYで「ノマディック・ミュージアム」と題してコンテナと紙の円筒で移動美術館を作っていたが、彼は今ポンピドゥー・センターの別館を設計しているという。紙のポンピドゥー誕生、ですか。いや、今回は竹だっけ?なんにせよMOMA、ルーヴル、そしてポンピドゥーと、日本人が有名美術館の建築に名を連ねるというのは一体どうしたことだろう?これが第二のジャポニスムでなければいいんだが、真意は定かではない。

付記:
実家が建築業という友人の話だが、彼はなぜにこうも多くの有名建築家の建築は雨漏りが激しいのだろう、と常々言っていた(決して上に挙げた人たちの話ではないのだが)。門外漢なりに想像してみると、まあ絵画や彫刻のように一人でやるもんでもなし、齟齬はでてくらぁな、金も時間もねぇのに無理な注文するんじゃねぇ、てな回答なのか、はたまた無理な設計が祟ったのか、さて。以上蛇足文でござんした。
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by jaro050 | 2005-10-23 01:58 | 美術寸評
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