東京トランスファー01

困ったことが二つある。
一つは状況的なもので、もう一つは感覚的なものだ。

今日は足掛け4つの展覧会を駆け巡った。そのうち二つは会期終了直前の「駆け込み」。本当はもっと時間のゆとりを持って観るべきなんだけれど、相変わらずの出不精が祟った。こんな強制力がなければ人を美術に向けるのは難しい、ということなのかもしれない。人とはもちろん僕のことである。

今日のスケジュールは以下の通り。
1.ジグマー・ポルケ展 上野の森美術館、上野
2.仕事の打ち合わせ、上野
3.奥村雄樹「Transfer」展 Hiromi Yoshii Five、六本木
4.さわひらき展 オオタファインアーツ、六本木
5.杉本博司展 森美術館、六本木

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一つ目の困ったことは、これだけ展覧会を回ると、どうしても「カタログを購入したくなる性分」が疼きだし、気がつけば7冊も買ってしまったこと。日本人特有の限定に弱い性質が露呈、計画性のなさに愕然。それは実際に展覧会に関係するものは2つだけだったことから分かる(ポルケと杉本)。残りの5冊は上野の森で何故か売っていた群馬県美の小カタログ(各400円)。ヨーロッパのアーティスト8人を集めた展覧会のカタログの分売で、フィッシュリ/ヴァイス、ダグラス・ゴードン、ニエーレ・トローニ、フランツ・ウェスト、カタリーナ・フリッチュ。買わなかった残りはポルケとマルレーネ・デュマスだ。最後のデュマスこそ欲しかったが、売り切れなのか会場にはなかった。

ポルケ展はこの展覧会が日本初個展。もちろん海外では作品個々に見てはいたのだが、日本で、しかもまとまって見ることなど滅多にない。滅多にないのはなにか理由がありそうだ。海外でこれほど認められている画家の展覧会が一ヶ月しかないのはいささか奇妙に思える。高松宮記念世界文化賞を2002年にとり、それがきっかけとして企画されたという本展、次は大阪の国立国際美術館に巡回するという。そんなに東京を離れたかったのかポルケ?

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「錬金術」と「資本主義」の同居――ポルケを観ての印象だ。ゲルハルト・リヒターとともに「資本主義リアリズム」を標榜したポルケの作品は、リヒターと違ってタイトルには詩情が漂い、主題性が与えられている。女性用の服の生地が多用され、それがキャンバスとして使われているもまたリヒターと一線を画する。キャンバスを使うとき、ポルケはむき出しの画肌を好む。だがバーネット・ニューマンが用いたようなロー・キャンバスの硬質感は微塵も感じられない。それはまさに服のように柔らかい。そう考えると、ポップアートの影響を受けたドットの表現も水玉のワンピースに見えてくるから不思議だ。

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02に続きます。
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by jaro050 | 2005-10-30 01:01 | 展覧会報
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