たしか少し前に横浜美術館の雪山行二さんがこのダヴィンチの《聖アンナと聖母子と洗礼者聖ヨハネ》の話をしていた。ロンドン・ナショナルギャラリーにあるこの木炭画は、老朽化で光を避けるため、薄暗い室内に展示されているのだという。この暗さがもとで、キリストが聖母の右腕から生え、また聖母の隣にいる聖アンナが聖母の裏の顔として、双頭の怪物のように見えたそうだ。 この画像はおそらく実際に見るよりもかなり明るく明瞭になっていると思うが、それでも言われてみれば腕からキリストを生やす双頭人である。聖アンナは他の人物に比べて陰影が濃すぎるために、まるで悪魔のようだ。制作当時は違ったのかもしれないが、私たちは現在の状態でこの木版画を受け取っている。この聖母子と聖人たちは、今では神話に登場する異形のものの片鱗を見せ始めているのだろうか?なんとも正邪両面を映す意味深な作品である。
by jaro050
| 2004-12-14 22:26
| 美術寸評
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ジャロ 20代も半ばにさしかかる鼻メガネ。 もはやメガネにアイデンティティを奪われる日も近い。 カテゴリ
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