ICCに行くのは結構久しぶりだった。確か「EAT」展以来だっただろうか。その日が「ローリー・アンダーソン」展の最終日で、きっとあと10年ぐらいはお目にかかれないだろうと重い腰を上げました。次のときは彼女亡くなっていなければいいけど…。
ローリー・アンダーソンは1947年生まれのアメリカのアーティスト。パフォーマー、ミュージシャンでもあるいわゆる80年代の「ポップ・スター」だ。70年代はゴードン・マッタ=クラークなんかともつるんでコンセプチュアル系の音響作品を作っていたけれど、80年に「オー・スーパーマン」という曲がイギリスでヒットして、一躍メディアに躍り出た。とはいえこの曲も大衆受けするような内容じゃないし、8分という長さも普通のポップ・ミュージックでは異例のことだった。つねに片足は現代美術につっこんだまま、作品を作っていった作家というわけだ。 ローリー・アンダーソンは1947年生まれのアメリカのアーティスト。パフォーマー、ミュージシャンでもあるいわゆる80年代の「ポップ・スター」だ。70年代はゴードン・マッタ=クラークなんかともつるんでコンセプチュアル系の音響作品を作っていたけれど、80年に「オー・スーパーマン」という曲がイギリスでヒットして、一躍メディアに躍り出た。とはいえこの曲も大衆受けするような内容じゃないし、8分という長さも普通のポップ・ミュージックでは異例のことだった。つねに片足は現代美術につっこんだまま、作品を作っていった作家というわけだ。 ローリーの作品はいつも「音」に関係しており、その音は記憶に結びついていた。音楽を聴いていて、ふとした瞬間にその曲をよく聴いていた頃のことを思い出す、なんて経験は誰しもあるだろう。音は記憶に通じている。そしてこの展覧会も、彼女の音の記憶をたどるものだった。 僕はタイムリーでローリーの活躍を見ていないんだけれど、「オー・スーパーマン」の「ハ、ハ、ハ、ハ、」と反復する声の重奏がローリーのユニセックスでカクカクとした動きと相乗して、なぜか気持ちを高揚させた。あれ?ローリーって結構カッコいいんじゃない? 「言葉は外宇宙から来たウイルスである」なんてぶっ飛んだ発言もあったし、その権威付けにビートニクスの作家ウィリアム・バロウズに宇宙の声を担当させるとか、破天荒ぶりが面白いんだけど、制作スケッチなんかをみると入念に準備されて作品が実現されているのが分かる。素材は言葉、音、電子機器、そして身体。おそらく電子機器と音の組み合わせが他のアーティストと違って80'sの匂いをかもし出しているんだろう。 展覧会カタログにはローリーの音楽を集めたCDが付録でついていた。帰って聴いてみると、それほど80'sの匂いがしなかったのが不思議だった。巡回展の最終地であるここ東京で、彼女の世界巡業は終わるという。会場のICCも近いうちに展示方針が変更されるらしい。僕にとってなにかICCに対する終止符のような、そんな展覧会だったような気がする。
by jaro050
| 2005-10-03 19:35
| 展覧会報
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ジャロ 20代も半ばにさしかかる鼻メガネ。 もはやメガネにアイデンティティを奪われる日も近い。 カテゴリ
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